カフェ奮闘記1/地獄の3日間
「地獄の3日間」と名付けたのには理由があります。
それくらい、オープン3日間のあの日に帰りたくない。
オープン当日、ワクワクから地獄に突き落とされた
2007年5月の日曜日、私たちのカフェは無事オープンの日を迎えることができました。当日の朝、少しだけドキドキしていたことを思い出します。
ルコルドンブルーの同期たちが、広島や大阪から、ケーキ作りを手伝いにきてくれて、本当に心強かったです。
『おいしいスイーツとコーヒーが愉しめるカフェメニュー』
私たちは、オープンの一か月前にメニューを決定させたのですが、内容は、コーヒー(ハンドドリップ)、紅茶、パティシエールが作るオリジナルのソフトドリンクなどのドリンク40種類とフランス菓子3種類でした。
日替わりランチは、ケーキの仕込みで手一杯になると想定していたため、メニューから省きました。
店内で、くつろぎながら、スイーツを愉しんでほしい。ケーキに合わせてドリンクを選んでいただく。例えば、コーヒーなら、ケーキと調和した味になるように、ドリップでコーヒーを淹れて提供します。
水曜日を定休日と考えていたので、とりあえず、日、月、火曜日の三日間を頑張ろう!ということで、3日間分の仕込みをしっかりとしていました。
・・・しかし、
私が考えている量の仕込みは、到底間に合わず・・。
作っても作っても終わらない仕込み=作業との闘いが、開店直後から始まった瞬間だったのです。
ショーケースに並べたケーキは3種類のムースやタルト
店内は、テーブル席が2つ、カウンターが11席。
オープン10時から、友人たちや、口コミで知ったお客様が続々と来てくださり、満席を繰り返していました。
ここまでは、イメージ通りだったのですが、考えていなかったことが起こりました。
それは、ケーキのテイクアウトでした。
もちろん、持ち帰りのことも頭にはあったので、ケーキ箱を用意はしていました。しかし、まるで、パティスリーで買うかのような勢いに、たった2時間で、数日分の仕込み分さえも底をついたのです。
開店してから2時間後、まだ12時です。
「本日のケーキは完売しました」と、今ならきっと言えます。
しかし、初日から、この時間に、この一言は言えませんでした。
手伝いに来てくれていた友人が計量などもやってくれて、必死に作り続けました。焼きあがった直後には、次のお客様が待ち構えていて、何個もテイクアウトしていきます。作っても作っても、数分単位で無くなっていく・・。
やっと客足がなくなったとき、閉店の19時でした。
全力を出し切り、クタクタです。一度も座っていません。
しかし、ここから、明日のための仕込みをしなければなりませんでした。
果てしない道のりへ
夫に子供のことを頼み、私だけが店に残り、仕込みを続けました。
気が付けば、深夜3時でした。
この瞬間、私の中に、サーッと恐怖が下りてきたのです。
これが一生続くの・・・?
どうしよう。
やっていけるのか?
この日、そのまま店で眠りについてしまいました。
この状態が3日間続き、水曜日という定休日を迎えますが、結局この日も仕込みで店に居続けました。
この3日間の、1日の平均売上は10万超えていました。一日10万のうち、店内でカフェ利用してもらえた売り上げはわずか1割。残り9割が、テイクアウトのケーキでした。10万近いケーキを自分一人で作ったかと思うと・・・。本当に、この時の自分を褒めてあげたい。
こうやって、私のケーキ作りの果てしない道がスタートしたのです。
・・・・つづく(カフェ奮闘記2へ)